その冷や汗は自律神経の乱れのサインかも
交感神経を急激に働かせすぎているサイン 自律神経はどこまでコントロールできるか?②
仕事中にねばねばした汗をかく
交感神経が過剰になっているときには、運動をしているわけでもないのに汗をかきます。しかもその汗はさらさらしたものではなく、ねばねば体に張り付くような汗です。
汗を出すのを担う汗腺は、交感神経だけに支配を受けている体の中でもかなり例外的存在です。鳥肌を立たせる立毛筋も交感神経のみの支配を受けているので、体温調節をするための皮膚の機能は、交感神経活動でコントロールされています。
仕事で急に緊張したり、トラブルの対処で一気に集中するような場面では、交感神経の活動が活発になりますが、そのような場面ではなく、ただ出勤しただけとか、デスクに座って作業をしているだけで汗ばんでしまうときは、交感神経を急激に働かせすぎているサインです。
交感神経が過剰に働いているときには、体の末端に余分な力が入っています。首や肩、腰を強く固定するように力が入ったり、バックを持つときに手を握りしめたりすることがあります。
これは緊張のために起こる反応なのですが、常にこんな臨戦態勢になっている必要はないはずです。体の末端に力が入るときには、逆に中心部でしっかり体を固定されていません。
実は体の中心部には、エネルギーを効率よくつくるミトコンドリアが多く含まれる褐色脂肪組織があります。褐色脂肪組織とは、たとえば冬眠する動物が冬眠から目覚めるときに体温を上昇させる役割をもっています。
ぶるぶる震えたり、体を動かさなくても体温を高めることができるので、人間では赤ちゃんに多く、成人では背中に多く配置されます。
さて、私たちの日常作業は、とにかく体をかがめて体の前を使うことが多いです。人間の体は船のマストのように、一本の支柱を両側から引っ張っているような構造になっています。
体の前側ばかり使っていると、褐色脂肪組織が熱を産生することが減ります。すると体はそれを補うように、糖分を燃やして瞬発的なエネルギーをつくろうとします。これで交感神経がやたらに働いてしまうのです。
私たちは体が熱くなってかいた汗で、はじめて、そのことに気づきます。
これを防ぐためには、褐色脂肪組織がしっかり機能するように、背中を使うことを意識してみましょう。